「許容時間」とは何ですか?

「許容時間」とは、当月・年間であとどれくらい時間外労働が許されるのかを、設定した基準時間を元に算出した時間数です。「許容時間」の算出方法と算出例を解説します。

 

目次

 

当月の許容時間の算出方法

当月の許容時間は基本的に【月の時間外労働の上限値】をもとに算出します。ただし、特別条項を設定しているか否かや、年間の時間外労働の残時間数により、どの値を参照して算出するかが変動します。

 

補足
一般条項 / 特別条項は、以下の画面で設定します(詳細はこちら)。
メニューバー「環境設定」 > 「基準値設定」

 

前提:年間の時間外労働の残時間数

年間で許されている時間外労働の残時間数です。以下の式で計算します。

 

年間の時間外労働の残時間数 = 年の時間外労働の上限時間数 - 法定休日労働を含まない時間外労働の合計

 

画面上部に戻る

 

一般条項と特別条項を設定している場合

特別条項の発動回数が「発動回数」項目の設定値に達しているか否かで、参照する値が異なります。

2023-02-21_11h45_47.png

 

「発動回数」の設定値に達していない

例えば「発動回数:6回」と設定し、年間の特別条項の発動回数が1~5回の場合です。

特別条項の【月の時間外労働の上限値】を参照し、【年間の時間外労働の残時間数】と比較します。

2023-02-21_13h13_55.png

 

ケース1:【年間の時間外労働の残時間数】 ≧ 特別条項の【月の時間外労働の上限値】

特別条項の【月の時間外労働の上限値】が、当月の許容時間になります。

 

ケース2:【年間の時間外労働の残時間数】 < 特別条項の【月の時間外労働の上限値】

【年間の時間外労働の残時間数】が、当月の許容時間になります。

 

「発動回数」の設定値に達している

例えば「発動回数:6回」と設定し、年間の特別条項の発動回数が6回の場合です。

一般条項の【月の時間外労働の上限値】を参照し、【年間の時間外労働の残時間数】と比較します。

2023-02-21_13h10_3502.png

 

ケース3:【年間の時間外労働の残時間数】 ≧ 一般条項の【月の時間外労働の上限値】

一般条項の【月の時間外労働の上限値】が、当月の許容時間になります。

 

ケース4:【年間の時間外労働の残時間数】 < 一般条項の【月の時間外労働の上限値】

【年間の時間外労働の残時間数】が、当月の許容時間になります。

 

直近2~6ヶ月の平均時間外労働(法定休日労働を含む)が多い場合は、ケース1~4で算出した許容時間ではなく、【当月の時間外労働の残時間数】を参照します(詳細はこちら)。

 

画面上部に戻る

 

一般条項のみ設定している場合

「発動回数」の設定値に達している と同じ方法で算出します。

 

直近2~6ヶ月の平均時間外労働(法定休日労働を含む)が多い場合は、ケース1~4で算出した許容時間ではなく、【当月の時間外労働の残時間数】を参照します(詳細はこちら)。

 

画面上部に戻る

 

直近2~6ヶ月の平均時間外労働(法定休日労働を含む)が多い場合

2~6ヶ月におけるひと月あたりの時間外労働(法定休日労働を含む)は、平均80時間以内である必要があります。直近2~6ヶ月の時間外労働や休日労働が多く、その結果【当月の時間外労働の残時間数】がケース1~4で算出した許容時間よりも少ない場合は、【当月の時間外労働の残時間数】を参照します。

 

ケース5:ケース1~4で算出した当月の許容時間 > 【当月の時間外労働の残時間数】

【当月の時間外労働の残時間数】が、当月の許容時間になります。

 

当月の時間外労働の残時間数

直近2~6ヶ月の時間外労働(法定休日労働を含む)を平均80時間以内に収めた場合の、当月の時間外労働の残業時間数です。以下の式で計算します。

 

◯ヶ月の時間外労働の残時間数 = ◯ヶ月 × 80時間 - 前月までの時間外労働合計(法定休日労働を含む)

 

例 月の初日において直近3ヶ月で計算する場合

当月の時間外労働の残時間数 = 3 × 80時間 - 2ヶ月分(前月まで)の時間外労働合計(法定休日労働を含む)

 

画面上部に戻る

 

年間の許容時間の算出方法

年間の時間外労働の残時間数が、年間の許容時間になります。

 

画面上部に戻る

 

許容時間の算出例

次の設定内容と労働状況の場合の、許容時間の算出例を説明します。

 

設定内容

メニューバー「環境設定」 > 「基準値設定」

2023-02-27_16h11_25.png

項目名 説明
分析基準月 4月
一般条項 1ヶ月:45時間 年間:360時間
特別条項 1ヶ月:100時間未満 年間:720時間 発動回数:6回

 

労働状況

勤怠レポート > 労働時間 > 時間外労働タブ > 個人別一覧 > 上限規制タブ >

  • 時間外労働(法定休日労働を含む:OFF)
    2023-02-27_16h30_15.png
  • 月間合計(法定休日労働を含む:ON)
    2023-02-27_16h30_59.png

2023-02-21_18h20_43.png

項目名 説明
時間外労働 該当月の時間外労働時間数(法定休日労働を含めない)
法定休日労働 該当月の法定休日労働時間数
月間合計 時間外労働時間数 + 法定休日労働時間数
回数 特別条項の発動回数

 

参考:2~6ヶ月(当月含む)の平均「月間合計」とその最大値
上図の場合、2~6ヶ月(当月含む)の平均「月間合計」とその最大値は、次のようになります。
2023-02-21_18h16_26.png

例 9月における6ヶ月(当月含む)の平均「月間合計」
(9月の月間合計 88時間 + 8月の月間合計 35時間 + 7月の月間合計 35時間 + 6月の月間合計 45時間 + 5月の月間合計 76時間 + 4月の月間合計 66時間) ÷ 6ヶ月 = 57.5時間 となります。
2023-02-21_18h47_36.png

 

10月(月の初日時点)の当月の許容時間

1. 【月の時間外労働の上限値】と【年間の時間外労働の残時間数】との比較

一般条項と特別条項の両方を設定していて、特別条項の発動回数は3回です。このため特別条項の【月の時間外労働の上限値】を参照し、【年間の時間外労働の残時間数】と比較します。

 

  • 【年間の時間外労働の残時間数】:415時間
    年の時間外労働の上限時間数 720時間 - 法定休日労働を含まない時間外労働の合計 305時間(下図の赤枠の合計)
    image_32802.png

     

  • 特別条項の【月の時間外労働の上限値】:100時間未満

 

ケース1:【年間の時間外労働の残時間数】 ≧ 特別条項の【月の時間外労働の上限値】に該当し、【月の時間外労働の上限値】100時間未満(99時間59分) が、当月の許容時間になります。

 

2. 【当月の時間外労働の残時間数】との比較

直近2~6ヶ月の時間外労働(法定休日労働を含む)を平均80時間以内に収めた場合の【当月の時間外労働の残時間数】を、それぞれ算出します。

 

  • 直近2ヶ月の時間外労働の残時間数:72時間
    2ヶ月 × 80時間 = 160時間
    160時間 - 9月の月間合計 88時間 = 72時間

  • 直近3ヶ月の時間外労働の残時間数:117時間
    3ヶ月 × 80時間 = 240時間
    240時間 - (9月の月間合計 88時間 + 8月の月間合計 35時間) = 117時間

  • 直近4ヶ月の時間外労働の残時間数:162時間
    4ヶ月 × 80時間 = 320時間
    320時間 - (9月の月間合計 88時間 + 8月の月間合計 35時間 + 7月の月間合計 35時間) = 162時間

  • 直近5ヶ月の時間外労働の残時間数:197時間
    5ヶ月 × 80時間 = 400時間
    400時間 - (9月の月間合計 88時間 + 8月の月間合計 35時間 + 7月の月間合計 35時間 + 6月の月間合計 45時間) = 197時間

  • 直近5ヶ月の時間外労働の残時間数:201時間
    6ヶ月 × 80時間 = 480時間
    480時間 - (9月の月間合計 88時間 + 8月の月間合計 35時間 + 7月の月間合計 35時間 + 6月の月間合計 45時間 + 5月の月間合計 76時間) = 201時間

 

⇒【当月の時間外労働の残時間数】の最小値は「直近2ヶ月の時間外労働の残時間数」の 72時間 です。

 

ケース5:ケース1~4で算出した当月の許容時間 > 【当月の時間外労働の残時間数】に該当し、【当月の時間外労働の残時間数】72時間 が、当月の許容時間になります。

 

画面上部に戻る

 

10月時点の年間の許容時間

年間の時間外労働の残時間数が、年間の許容時間になります。

 

年間の時間外労働の残時間数:415時間

年の時間外労働の上限時間数 720時間 - 法定休日労働を含まない時間外労働の合計 305時間(下図の赤枠の合計)

image_32802.png

 

画面上部に戻る

 

2月(月の初日時点)の当月の許容時間

1. 【月の時間外労働の上限値】と【年間の時間外労働の残時間数】との比較

一般条項と特別条項の両方を設定していて、特別条項の発動回数は6回です。このため一般条項の【月の時間外労働の上限値】を参照し、【年間の時間外労働の残時間数】と比較します。

 

  • 【年間の時間外労働の残時間数】:155時間
    年の時間外労働の上限時間数 720時間 - 法定休日労働を含まない時間外労働の合計 565時間(下図の赤枠の合計)
    image_32803.png

     

  • 一般条項の【月の時間外労働の上限値】:45時間

 

ケース3:【年間の時間外労働の残時間数】 ≧ 一般条項の【月の時間外労働の上限値】に該当し、一般条項の【月の時間外労働の上限値】45時間 が、当月の許容時間になります。

 

2. 【当月の時間外労働の残時間数】との比較

直近2~6ヶ月の時間外労働(法定休日労働を含む)を平均80時間以内に収めた場合の【当月の時間外労働の残時間数】を、それぞれ算出します。

 

  • 直近2ヶ月の時間外労働の残時間数:90時間
    2ヶ月 × 80時間 = 160時間
    160時間 - 1月の月間合計 70時間 = 90時間

  • 直近3ヶ月の時間外労働の残時間数:80時間
    3ヶ月 × 80時間 = 240時間
    240時間 - (1月の月間合計 70時間 + 12月の月間合計 90時間) = 80時間

  • 直近4ヶ月の時間外労働の残時間数:115時間
    4ヶ月 × 80時間 = 320時間
    320時間 - (1月の月間合計 70時間 + 12月の月間合計 90時間 + 11月の月間合計 45時間) = 115時間

  • 直近5ヶ月の時間外労働の残時間数:123時間
    5ヶ月 × 80時間 = 400時間
    400時間 - (1月の月間合計 70時間 + 12月の月間合計 90時間 + 11月の月間合計 45時間 + 10月の月間合計 72時間) = 123時間

  • 直近5ヶ月の時間外労働の残時間数:115時間
    6ヶ月 × 80時間 = 480時間
    480時間 - (1月の月間合計 70時間 + 12月の月間合計 90時間 + 11月の月間合計 45時間 + 10月の月間合計 72時間 + 9月の月間合計 88時間) = 115時間

 

⇒【当月の時間外労働の残時間数】の最小値は「直近3ヶ月の時間外労働の残時間数」の 80時間 です。

 

ケース5:ケース1~4で算出した当月の許容時間 > 【当月の時間外労働の残時間数】該当しないため、一般条項の【月の時間外労働の上限値】45時間 が、当月の許容時間になります。

 

画面上部に戻る

 

2月時点の年間の許容時間

年間の時間外労働の残時間数が、年間の許容時間になります。

 

年間の時間外労働の残時間数:155時間

…年の時間外労働の上限時間数 720時間 - 法定休日労働を含まない時間外労働の合計 565時間(下図の赤枠の合計)

image_32803.png

 

画面上部に戻る

この記事は役に立ちましたか?
0人中0人がこの記事が役に立ったと言っています