各項目の端数の計算方法について、解説します。
目次
- 割増手当と不就労控除の端数計算
- 「月の平均所定労働日数」「月の平均所定労働時間」の端数計算
- 社会保険料の端数計算
- 雇用保険の端数計算
- 源泉徴収税額の端数計算
- 補足:KING OF TIME 勤怠管理で計上された勤怠時間の端数処理
割増手当と不就労控除の端数計算
KING OF TIME 給与 > 設定 > 計算式設定 では、項目ごとに、端数処理方法を「切り上げ」「切り捨て」「四捨五入」から設定できます。なお、初期値は「切り上げ」になっています。
割増手当と不就労控除の計算の最後に、この端数処理が適用されます。
端数処理方法を「切り捨て」に設定した場合の、次の例における残業手当の計算手順を説明します。
- 割増賃金の計算基礎: 213,500円
- 対象月の勤務日数: 21日
- 1日の勤務時間: 7.5時間
- 割増率:125%
- 残業時間: 2.5時間
残業手当の計算結果
213,500円 ÷ 21 ÷ 7.5 × 1.25 × 2.50 = 4236.111...
→計算の最後に「4236.111...」の端数を切り捨てて「4236」になります。
補足
次のような計算途中での端数処理はされません。
- 213,500円 ÷ 21 ÷ 7.5 = 1355.555...→「1355.555...」の端数を切り捨てて「1355」になる
↓ - 1355 × 1.25 × 2.50 = 4234.375...→「4234.375...」の端数を切り捨てて「4234」になる
上記例で「1355」で計算したい場合は、次のように設定してください。
1. KING OF TIME 人事労務 > 企業情報 > 給与規定 > 支給項目タブ > [+給与の項目を追加]にて、割増単価用の項目を作成する
2. KING OF TIME 人事労務 > 従業員一覧 > 従業員情報画面 > 給与タブ にて、割増単価用の項目にチェックし、単価「1355」を入力する
3. KING OF TIME 給与 > 設定 > 計算式設定で次のように設定する
(割増単価用の項目) × 1.25 × 残業時間
「月の平均所定労働日数」「月の平均所定労働時間」の端数計算
「月の平均所定労働日数」「月の平均所定労働時間」では端数処理されません。
補足
端数処理したい場合は、計算式設定の「数字」に端数処理後の値を設定してください。
例)「年の所定労働日数:245日」×「日の所定労働時間:8時間」÷ 12ヶ月 = 163.3333333
→端数を切り捨てて「163」としたい場合、計算式設定で次のように設定する
割増賃金の計算基礎 ÷ 163 × 残業時間
※同一の締め日グループに「164」などの異なる数字にしたい従業員がいる場合、締め日グループを分ける必要があります。異なる計算式設定の締め日グループを新しく作成し、該当従業員の締め日グループを変更してください。
社会保険料の端数計算
社会保険料の端数は、事業主と被保険者が負担する保険料に1円未満の端数が生じた場合、被保険者負担分の端数が50銭以下のときは切り捨て、50銭を超えるときは切り上げされます。詳細については以下をご参照ください。
保険料の計算方法について(外部サイト)
雇用保険の端数計算
雇用保険料の端数は、KING OF TIME人事労務の 企業情報 > 事業所情報 > 「労働保険」タブ > 保険料負担率カテゴリの「率による計算の端数処理」の選択が適用されます。詳細についてはこちらをご参照ください。
源泉徴収税額の端数計算
源泉徴収税額の端数は、10円未満が「四捨五入」されます。詳細については以下をご参照ください。
月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について(外部資料)
補足:KING OF TIME 勤怠管理で計上された勤怠時間の端数処理
KING OF TIME 勤怠管理の時間表示形式が「10 進数」(1時間30分を 1.50 と表示)であるか「60進数」(1時間30分を 1.30 と表示)であるかにより、端数処理が異なります。
60進数の端数処理
時間表示形式が60進数の場合、KING OF TIME 勤怠管理にて取得した時間をKING OF TIME 給与側で10進数に変換し、端数処理せずに計算します。
ただし、「整数」「小数点以下」を含めて上限14桁までを参照して計算するため、15桁目を四捨五入します。
計算例
次の場合の「割増手当 残業」の計算例です。
-
月額給与:
350,000円
-
平均所定労働時間(年間所定労働日数 × 日の契約労働時間 ÷ 12ヶ月):
163.333333333333
→163.3333333333(15桁目を四捨五入)...【A】
-
残業時間:
33時間19分
→33時間 + (19分 ÷ 60分) = 0.316666666666667(分数を10進法に変換)
→33.31666666667(15桁目を四捨五入)...【B】
- KING OF TIME 給与の計算式設定:端数処理「切り上げ」...【C】
割増手当 残業
= 割増賃金の計算基礎 ÷ 月の平均所定労働時間 × 1.25 × 残業時間
= 350,000 ÷ 【A】163.3333333333 × 1.25 × 【B】33.31666666667
= 89,242円(【C】により切り上げ)
10進数の端数処理
時間表示形式が10進数の場合、KING OF TIME 給与側でも10進数で計算し、端数処理します。
計算例
次の場合の「割増手当 残業」の計算例です。
-
月額給与:
350,000円
-
平均所定労働時間(年間所定労働日数 × 日の契約労働時間 ÷ 12ヶ月):
163.333333333333
→163.3333333333(15桁目を四捨五入)...【A】
-
残業時間:
33.32時間(60進数33時間19分相当)※
※KING OF TIME 勤怠管理で「10進表示の際の小数第3位の取扱い」が「切上げ」であるとします。
33時間 + (19分 ÷ 60分) = 0.316666666666667(分数を10進法に変換)
→33.32(小数第3位を切り上げ)...【B】
- KING OF TIME 給与の計算式設定:端数処理「切り上げ」...【C】
割増手当 残業
= 割増賃金の計算基礎 ÷ 月の平均所定労働時間 × 1.25 × 残業時間
= 350,000 ÷ 【A】163.3333333333 × 1.25 × 【B】33.32
= 89,251円(【C】により切り上げ)