育児休業の対象者・取得状況を個人別に把握する方法

育児休業に関する業務では、取得率を集計するだけでなく、「誰が対象なのか」「誰が取得を予定しているのか」「誰が取得中なのか」といった、従業員一人ひとりの状況を継続的に把握する必要があります。

しかし、従業員、子の情報、育児休業の申請内容、勤怠実績などが複数のシステム、Excelに分散していると、必要な情報の確認、集計に時間がかかります。情報の登録漏れ、更新漏れによって、対象者を正しく抽出できないこともあります。

 

KING OF TIME シリーズでは、育児休業に必要な情報の登録、休業期間の設定、取得状況の可視化、その後の申請期限管理までを一連の流れでできます。

 

本記事では、人事担当者が育児休業情報を必要とする具体的な場面と、KING OF TIME 勤怠管理、KING OF TIME 人事労務、KING OF TIME データ分析を使って、対象者の把握から手続き、復職支援までを進める方法を紹介します。

 

目次

 

1. 育児休業の情報を個人単位で把握する重要性

育児休業に関する情報は、公表資料の作成だけでなく、制度案内、申請・手続きの管理、復職支援など、さまざまな人事業務で必要になります。そのため、全社の取得率だけでなく、「対象者は誰か」「現在どの段階にいるか」「必要な手続きが完了しているか」を従業員ごとに把握できることが重要です。

 

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2. 取得率だけでは分からない育児休業の運用状況

2025年4月から、常時雇用する労働者が300人を超える企業には、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられています。

 

厚生労働省の「令和7年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は50.9%となり、前年度の40.5%から10.4ポイント上昇しました。男性の取得率が50%を超えたのは初めてで、育児休業を取得する男性は着実に増えています。 

 

公表義務の対象外となる常時雇用する労働者が300人以下の中小企業でも、育児休業取得率を把握することは、制度の利用状況の分析、職場環境の改善、採用活動での情報発信に役立ちます。将来的な制度変更に備えるためにも、日頃から必要な情報を正しく管理できる環境を整えておくことが大切です。

 

一方で、取得率は会社全体の傾向を示す数字であり、次のような個別の状況までは分かりません。

  • 誰が取得対象なのか
  • 誰が取得前・取得中なのか
  • 取得可能期間を過ぎても未取得の従業員がいるか
  • 所属、雇用区分によって取得状況に差があるか
  • 誰が制度案内、申請フォローの対象なのか
  • 復職後に遅刻・早退の増加など勤務状況に変化が見られる従業員がいるか

 

男性の育児休業取得率が上昇するなか、企業には取得率を集計するだけでなく、対象者、取得状況を個人単位で正しく把握し、必要な案内、手続きをすることが一層求められます。 

 

さらに、復職後の勤務状況を確認することで、仕事と育児の両立に向けて追加のフォローが必要な従業員を見つける手がかりとなり、離職防止の取り組みにも役立てられます。

 

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3. 育児休業情報を活用するための業務フロー

育児休業の管理では、取得率を集計するだけでなく、対象者一人ひとりの状況を把握し、必要な案内、手続き、復職支援につなげることが重要です。

 

KING OF TIMEシリーズを活用すると、次の流れを一元的に管理できます。

  • KING OF TIME 勤怠管理で、育児休業期間を勤怠へ反映する
  • KING OF TIME 人事労務で、従業員・子・育児休業に関する情報を登録する
  • KING OF TIME データ分析で、取得率と個人別の状況を確認する
  • 確認結果を制度案内、申請管理、復職支援、公表資料、採用活動、制度改善などに役立てる

 

公表義務への対応だけを目的とするのではなく、日頃から必要な情報を正しく登録し、適切なタイミングで確認できる状態を整えておきましょう。

 

STEP0 利用前に確認しておきたい権限設定

KING OF TIME データ分析で育児休業の取得状況を確認するには、利用する管理者に必要な閲覧権限が付与されている必要があります。

 

admin全権管理者には、あらかじめすべての権限が付与されているため、閲覧、設定が可能です。一般管理者が育児休業情報を確認する場合は、KING OF TIME 勤怠管理、KING OF TIME 人事労務、KING OF TIME データ分析でそれぞれ権限を設定してください。

 

KING OF TIME 勤怠管理で必要な設定 

管理者設定でKING OF TIME 人事労務、KING OF TIME データ分析のサービス利用が「利用する」になっているか確認します。

 

KING OF TIME 人事労務で必要な閲覧権限 

設定 > その他の設定 > 権限設定 > 一般管理者権限の編集をクリック、権限の編集画面の以下項目にチェックが入っていることを確認してください。

選択箇所 名称
部署 該当の部署
役職 該当の役職
項目 家族 > 生年月日、続柄



 

KING OF TIME データ分析で必要な閲覧権限 

設定 > 権限設定 > 該当管理者の編集をクリック、権限設定画面の以下項目にチェックが入っていることを確認してください。

選択箇所 名称
所属 該当の所属
雇用区分 該当の雇用区分
許可する機能 雇用動向


 

補足

「閲覧」以外の「編集」「設定」にチェックが入っていても問題ありません。必要に応じてチェックを入れてください。

 

STEP1 育児休業を勤怠へ反映する

KING OF TIME 勤怠管理では、育児休業用の休暇区分、休業期間を設定できます。育児休業期間を勤怠へ正しく反映することで、次のような管理につなげられます。

  • 育児休業期間の適切な管理
  • 出勤率への適切な反映
  • 年次有給休暇の付与に必要な出勤率の計算
  • 休業開始前・復職後の勤怠実績の確認
  • 復職後の勤務状況の把握

 

勤怠情報と人事情報をあわせて管理することで、登録された育児休業期間と実際の勤怠運用にずれがないかを確認しやすくなります。

 

STEP2 従業員と子の情報を登録する

KING OF TIME 勤怠管理とKING OF TIME 人事労務に、分析の基礎となる情報を登録します。すでに登録済みの場合は、内容が最新の状態になっているか確認してください。登録した情報はKING OF TIME データ分析へ連携されます。

 

KING OF TIME 勤怠管理

  • 従業員の基本情報(主に性別、生年月日、入社日)

 

KING OF TIME 人事労務

  • 従業員の基本情報(主に役職、業務の種類、部署、契約種別)
  • 育児休業の基本情報(就業状況、休職種別、育児休業の開始日・終了日)
  • 子の生年月日

 

子の生年月日、育児休業期間などが正しく登録されていない場合、取得状況を正確に表示できない可能性があります。出産、家族情報の変更があった際に情報を更新する運用を決め、最新の状態を保つことが重要です。

 

STEP3 KING OF TIME データ分析で取得状況を可視化する

KING OF TIME データ分析の「育児休業」画面では、全社統計、男女別の取得率に加えて、対象従業員ごとの取得状況を確認できます。

1-2.png

 

個人別一覧では、主に次の情報を確認できます。

  • 従業員コード
  • 名前
  • 性別
  • 所属
  • 雇用区分
  • 取得状況
  • 残日数
  • 申請日数
  • 申請期間
  • 初回取得年度
  • 子の出生日
  • 取得率算出の対象年度

2-1.png

 

取得状況は、「出生前」「取得前」「取得中」「取得済」「未取得」「未取得(期間終了)」の6つのステータスで表示されます。これにより、全体の取得率だけでは分からなかった、従業員ごとの状況を把握できます。

 

STEP4 必要な手続き、フォローにつなげる

KING OF TIME データ分析で対象者を把握した後は、確認結果を実際の業務につなげます。

3-3.png
 

ステータス 人事担当者が確認すること
出生前
  • 制度の事前案内
  • 育児休業制度、給付金制度の説明
  • 個別周知・意向確認(法令対応)
  • 業務引継ぎ計画の開始
  • 上司と取得スケジュール調整
取得前
  • 育児休業申出書の受付
  • 取得期間の確認
  • 勤怠/人事システムへの登録
  • 社会保険/給与処理の準備
  • 部署へ休業開始日を共有
取得中
  • 育児休業給付金の申請管理
  • 育児休業等取得者申出書の申請状況
  • 給与計算における社会保険料免除の設定
  • 会社からの定期連絡
  • 復職予定日の確認
  • 復職後制度(短時間勤務等)の相談
取得済
  • 復職手続き
  • 勤怠設定の変更
  • 短時間勤務/所定外労働免除などの設定
  • 給与/社会保険の切替
  • 復職後フォロー面談
未取得
  • 制度案内が済んでいるか確認
  • 取得意思の確認
  • 申請漏れがないか確認
  • 必要に応じて制度説明、相談対応

※取得を強制するのではなく、制度を利用できる状態になっているか確認することが重要です。

未取得(期間終了)
  • 制度利用状況の分析
  • 取得できなかった理由の確認(任意)
  • 部署別/業種別の傾向分析
  • 制度周知、職場環境の改善検討
  • 取得率公表時の分析資料として活用

 

取得前の従業員には制度案内、申請状況を確認し、取得中の従業員については給付金申請、社会保険料免除などの手続きを管理します。

 

KING OF TIME 人事労務では、「育児休業給付金 次回申請年月日」が近づいた際に管理者へ通知する設定も可能です(詳細はこちら)。また、KING OF TIME 給与をご利用の場合、育児休業取得者の社会保険料を免除する設定もできます(詳細はこちら)。

 

KING OF TIME データ分析で対象者を把握し、KING OF TIME 人事労務でその後の手続きを管理することで、確認だけで終わらない実効性のある継続的な運用体制を構築できます。

 

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4. 個人別一覧を活用できる具体的なシーン

1.制度案内が必要な従業員を把握する

対象ステータス:「出生前」「取得前」の従業員

制度の個別周知、意向確認が必要な対象者を把握し、会社側から早めに案内することで、対応漏れを防ぎ、育児休業を検討しやすい環境づくりにつなげられます。

 

2.未取得者の状況を確認する

対象ステータス:「未取得」「未取得(期間終了)」の従業員

未取得であることだけを理由に、一律に取得を促すものではありません。本人の希望、家庭の状況、業務環境などを踏まえ、制度が正しく周知されていたか、取得を妨げる要因がなかったかを確認し、周知方法、職場環境の見直しに活用できます。

 

3.取得中、復職予定者の手続き管理に活用する

対象ステータス:「取得中」の従業員

対象者と復職予定日を把握することで、復職に向けた手続き、所属部署との調整を計画的に進められ、手続き漏れも防げます。復職後に短時間勤務、所定外労働の免除などを利用する場合は、本人の意向を確認し、勤務条件、勤怠設定を事前に整えておく必要があります。

 

4.復職後の両立支援と離職防止に活用する

対象ステータス:「取得済」 の従業員

育児休業の取得情報と勤怠情報をあわせて確認すると、遅刻・早退の増加、勤務状況の変化など、本人への声かけ、勤務環境の見直しが必要な兆候を把握できます。

こうした情報を面談などとあわせて活用することで、復職後の定着支援、育児を理由とした離職防止に役立てられます。

 

5.公表資料作成時の確認に活用する

育児休業取得率の公表にあたっては、対象年度、取得者数を正しく把握する必要があります。KING OF TIME データ分析では、年度、性別、取得状況などの条件を指定して対象者を確認できます。

取得率と個人別一覧を照らし合わせることで、集計対象者、登録内容に誤りがないかを検証でき、公表資料作成時の精度向上に役立ちます。

 

6.社内の制度改善に活用する

所属別、雇用区分別に取得状況を確認すると、会社全体の取得率だけでは見えない傾向を捉えられます。

 

例えば、特定の部署で取得者が少ない場合には、次のような課題が考えられます。

  • 制度の周知が十分にできていない
  • 業務の引き継ぎが難しい
  • 上司、同僚の理解が得にくい
  • 制度を利用しづらい職場風土がある

 

一方で、対象者の情報が正しく登録されておらず、実態がデータに反映されていない可能性もあります。データをきっかけとして現場の状況を確認し、業務分担、制度案内の見直しを図れます。

 

7.採用活動・社内説明に活用する

育児休業の取得実績は、求職者に対して自社の働きやすさを伝える材料の一つになります。単に制度があることを伝えるだけでなく、実際の取得率、利用実績を示すことで、制度が運用されていることを具体的に説明できます。

 

また、従業員向けの制度説明会、社内報などで取得状況を紹介することで、制度の認知向上、利用しやすい雰囲気づくりにも役立ちます。

 

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よくある質問

Q. 男性の育児休業取得率の公表義務は、どの企業が対象ですか?

2025年4月から、常時雇用する労働者数が300人を超える企業に男性の育児休業取得率等の公表が義務付けられています。300人以下の中小企業には現時点で公表義務はありませんが、任意公表は可能です。

 

Q. 公表義務がない企業(300人以下)でも把握するメリットはありますか?

公表義務のない中小企業だからこそ、育児休業取得率、申請日数をデータ分析で算出し、採用サイト・求人票・面接で任意に開示することで差別化になります。KING OF TIME シリーズを使えば、取得状況を可視化でき、採用広報用の実績数値を担当者の集計工数をかけずに用意できます。厚生労働省からも「女性の育児休業取得率」「育児休業平均取得日数」なども公表して自社の実績をPRすることを推奨しています。

厚生労働省「男性の育児休業取得率等の公表について」(外部サイト)

 

Q. 従業員数が少ない会社でも、育児休業を管理する必要がありますか?

従業員が少ないからといって、育児休業の管理が不要になるわけではありません。 育児休業の申出への対応義務、不利益取扱いの禁止、取得意向確認などは企業規模を問わず、すべての事業主に適用されます。むしろ従業員数が少ない会社ほど、1人の育児休業取得が業務全体に与える影響が大きく、引き継ぎ計画を含めた管理体制がより重要になります。「規模が小さいからこそ計画的な管理が必要」と理解するのが適切です。

 

Q. KING OF TIME データ分析で確認できる取得率を公表データにどう活用すればいいですか?

全社統計を確認します。公表データの事業年度期間にデータ分析で設定した「年度開始月」の開始日から終了日までを入力します。取得率種別の育児休業等取得率に男性の割合/女性の割合を入力します。

※「育児目的休暇取得率」はデータ分析では把握できませんので、別途KING OF TIME 勤怠管理で確認いただく必要があります(詳細はこちら)。

 

Q. 部署、業種別によって取得状況に偏りがないか分析できますか?

はい、可能です。

KING OF TIME データ分析の育児休業には「項目別比較」があり、対象従業員数・取得率・取得率の推移・申請日数別割合を、所属別、雇用区分別、部署別、役職別、契約種別、業種別、勤続年数別、年代別、男女別に確認できます。したがって、部署ごとの取得率を比較して「特定の部署だけ取得率が低い」といった偏りを確認できます。

 

Q. 従業員から妊娠・出産の申し出があった場合、会社は何をすべきですか?

事業主には、本人または配偶者の妊娠・出産等の申出をした労働者に対し、育児休業制度等の個別周知と取得意向の確認をすることが義務付けられています。面談・書面交付等の方法で実施し、取得を控えさせるような形での実施は認められません。

 

Q. 「産後パパ育休(出生時育児休業)」と通常の「育児休業」の違いは何ですか?

産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)まで、2回に分割して取得できる制度とされています。通常の育児休業とは別に取得でき、労使協定を締結している場合には休業中の就業が一定範囲で認められる点が特徴です。

 

Q. 産後パパ育休、育児休業を分割して取得した場合、個人別一覧ではどのように表示されますか?

同一の子について育児休業を分割して取得した場合、育児休業取得者数は1人としてカウントします。個人別一覧では、該当従業員の「取得状況」に2つのステータス(例:取得済|取得中)が表示され、「申請日数」には申請期間の合計日数、「申請期間」にはそれぞれの取得期間が表示されます。

 

Q. 育児休業中の社会保険料はどうなりますか?

事業主が管轄の年金事務所または健康保険組合へ「育児休業等取得者申出書」を提出する必要があります。この申し出は、育児休業等の期間中または育児休業等終了後の終了日から起算して1カ月以内の期間中にしなければなりません。

この提出により、健康保険・厚生年金保険の保険料が事業主負担分・被保険者負担分ともに免除されます。

 

Q. KING OF TIME データ分析から育児休業のデータを出力できますか?

個人別一覧から該当従業員のPDF出力が可能です(詳細はこちら)。

 

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