「今月、月額変更届の対象者はいないか」――給与計算が終わるたびに、給与データをさかのぼって確認していませんか?
KING OF TIMEシリーズなら、月額変更届の対象者を毎月洗い出し、集計する手間を減らしながら、見落としも防ぎやすくなります。対象者の洗い出しから、届出の作成、e-Gov電子申請までを一つの流れで進められるため、複数のツールを行き来したり、同じ情報を転記したりする手間も減らせます。
本記事では、確認漏れを防ぎながら、毎月の月額変更届を効率的に進めるための活用方法を解説します。
目次
- 月額変更届(随時改定)とは
- 月額変更届の実務:毎月の確認・集計で負担になりやすいこと
- KING OF TIMEで変わる月額変更届の毎月の業務
- KING OF TIMEで月額変更届の電子申請を始めるには
- 毎月の運用に組み込む
- よくある質問
- お役立ちコンテンツ
月額変更届(随時改定)とは
社会保険の標準報酬月額は、通常、年1回、4~6月の報酬をもとに行う「定時決定(算定基礎届)」で見直されます。一方、年度の途中で固定的賃金が変動し、一定の要件に該当した場合は、定時決定を待たずに標準報酬月額を見直します。これが「随時改定」で、その際に提出するのが「月額変更届」です。実務では「月変(げっぺん)」と略されることもあります。
随時改定は、原則として次の3つの条件をすべて満たす場合に行うとされています。
- 昇給・降給などにより、固定的賃金に変動があった。
- 変動があった月から3か月間の報酬の平均額をもとに算出した標準報酬月額と、現在の標準報酬月額との間に、2等級以上の差が生じた。
- 変動があった月から3か月間、いずれの月も支払基礎日数が17日以上ある(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)。
随時改定は、昇給だけでなく降給も対象になります。 ただし、基本給は上がったものの残業手当が大きく減り、3か月の平均で見ると標準報酬月額が下がった場合のように、固定的賃金の動きと3か月平均の動きが逆になるケースは対象になりません。
改定後の標準報酬月額は、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4か月目から適用されるとされています。たとえば4月に支払われる給与に変動があった場合は、7月分から改定されます。
補足
短時間労働者の支払基礎日数や等級差の例外など、詳しい判定条件は「月額変更届の表示 / 出力方法」と日本年金機構の案内をご確認ください。
なお、本記事は制度の一般的な考え方を解説するものです。個別の対象判定や手続きの要否については、所轄の年金事務所・加入している健康保険組合、または社会保険労務士などの専門家へご確認ください。
月額変更届の実務:毎月の確認・集計で負担になりやすいこと
算定基礎届が年1回の業務であるのに対し、月額変更届は、対象者がいれば毎月発生しうる業務です。昇給・降給や手当の変更があった従業員について、その後の報酬を確認し、手続きが必要かを判断する必要があります。
この判断をするために、毎月こんな作業が発生していないでしょうか。
- 昇給・降給などの変更履歴を確認し、今月の対象になりそうな従業員を洗い出している。
- 対象者ごとに3か月分の報酬を集計し、現在の標準報酬月額との等級差を確認している。
- 給与計算・届出の作成・提出に使うツールや方法が分かれており、紙の届出様式やe-Gov電子申請アプリなどへのデータの受け渡し・転記が発生している。
一つひとつは数分の作業でも、対象になりそうな従業員が増えるほど、これを毎月繰り返すことになります。さらに、確認・集計と申請が別のツールに分かれていると、「誰の分がどこまで終わったか」を管理する作業まで増えていきます。月額変更届は提出時期が「速やかに」とされている手続きでもあり、確認が後ろ倒しになるほど負担は大きくなります。
だからこそ、対象者の洗い出しから申請までを、同じデータで一続きに進められるかどうかが、効率化の分かれ目になります。
KING OF TIMEで変わる月額変更届の毎月の業務
KING OF TIME 勤怠管理にKING OF TIME 人事労務・KING OF TIME 給与を組み合わせると、給与計算に利用したデータを活かし、月額変更届の対象者抽出から電子申請までをつなげて進められます。
なお、月額変更届機能は、登録された人事情報と給与計算データをもとに対象者の確認や届出の作成を支援するものです。対応していないケースについては、記事末尾の「ご注意:対応範囲について」をご確認ください。
KING OF TIMEを活用する3つのメリット
対象者を自動で洗い出せる
KING OF TIME 人事労務の登録内容と、KING OF TIME 給与で確定した給与計算データをもとに、月額変更届の対象者が自動で抽出されます。そのため、固定的賃金が変わった従業員を一人ずつ探して回る必要がなくなり、見落としの防止にもつながります。
3か月分の集計と等級差の確認を任せられる
3か月間の報酬や平均額、改定後の標準報酬月額が、集計された状態で表示されます。対象者ごとに給与資料を集め直して計算する作業は必要ありません。 また、遡及支払額など個別の事情がある場合は、届出内容を編集して補正できます。
確認から電子申請、進捗確認までがつながる
確認した内容は、そのまま申請データとしてKING OF TIME 人事労務へ連携できます。「電子申請一覧」からe-Gov電子申請を行い、申請後の進捗確認や公文書の取得まで、同じ画面で進められます。また、算定基礎届など、他の対応済み手続きとあわせて申請状況を管理できます。
毎月の業務となる5ステップ
ステップ1~3はKING OF TIME 給与、ステップ4~5はKING OF TIME 人事労務で行います。KING OF TIME 給与で作成した申請データをKING OF TIME 人事労務へ連携し、申請後の対応まで一連の業務として進めます。
KING OF TIME 人事労務での電子申請が初めての場合は、後述の「電子申請を始める前に確認すること」もあわせてご確認ください。
ステップ1:給与計算を確定する
KING OF TIME 給与で、当月の給与計算を確定します。月額変更届の判定には、改定年月の1~4か月前に支給した給与計算が確定していることが必要です。当月分だけでなく、対象期間の確定状況もあわせて確認しておきましょう。
ステップ2:対象者を自動で洗い出す
KING OF TIME 給与の「帳票・データ > 月額変更届」で改定年月と所属事業所を選ぶだけで、対象者の一覧が表示されます。誰が対象になりそうかを、給与データをさかのぼって探す作業は、ここで不要になります。
表示される一覧は、KING OF TIME 人事労務の登録内容と確定した給与計算データが反映されたものです。想定していた対象者と違う場合は、人事情報の登録内容を見直すきっかけにもなります。
ステップ3:届出内容を確認し、必要に応じて補正する
3か月間の報酬、支払基礎日数、改定後の標準報酬月額は、集計された状態で表示されます。対象者ごとに等級差を計算し直す必要はありません。
遡及支払額など、個別の事情を反映する必要がある場合は、この画面で届出内容を編集できます。編集できる項目や操作手順は、「月額変更届の表示 / 出力方法」をご参照ください。
表示された内容が自社の支給実績や従業員の状況に合っているかを確認したうえで、次のステップへ進みます。
ステップ4:電子申請し、進捗と公文書を確認する
KING OF TIME 給与で届出内容を確認した後、[電子申請一覧に追加]をクリックすると、申請データが作成され、KING OF TIME 人事労務へ連携されます。あとはKING OF TIME 人事労務の「電子申請一覧」から、そのままe-Gov電子申請を行えます。申請用にデータを作り直したり、別のツールへ転記したりする必要はありません。
申請後の進捗も、同じ一覧で確認できます。審査が進み、公文書やメッセージが発行された場合は、この一覧から取得します。
補足:公文書と申請内容の控えは取得先が異なります
行政機関が発行した公文書は、KING OF TIME 人事労務の「電子申請一覧」で取得します。申請内容の控えが必要な場合は、KING OF TIME 給与の「帳票・データ > 月額変更届」の[PDF・CSV出力]をご利用ください。
関連コンテンツ:e-Gov電子申請の手順
ステップ5:改定後の標準報酬月額を登録する
日本年金機構から返却された標準報酬改定通知書(公文書)で、改定後の標準報酬月額を確認します。確認した内容をKING OF TIME 人事労務の従業員情報へ登録すれば、以降の社会保険料計算に反映されます。
ご注意
KING OF TIME 給与の月額変更届に表示されるのは、申請時点で算出された標準報酬月額です。従業員情報へ登録する際は、必ず日本年金機構から返却された標準報酬改定通知書(公文書)で、決定された標準報酬月額をご確認ください。
KING OF TIMEで月額変更届の電子申請を始めるには
現在のご利用状況によって、電子申請を始めるまでの準備は異なります。ご自身の状況に近いほうをご確認ください。
すでにKING OF TIME 給与で月額変更届をお使いの方
これまでのPDF・CSV出力に加え、KING OF TIME 人事労務の「電子申請一覧」からe-Gov電子申請まで行えるようになりました。対象者の自動抽出・確認や届出内容の補正といったこれまでの流れを活かしながら、提出までKING OF TIMEシリーズ内で進められます。
これからKING OF TIME 人事労務・KING OF TIME 給与を利用する方
KING OF TIME 勤怠管理にKING OF TIME 人事労務・KING OF TIME 給与を組み合わせることで、対象者の洗い出しから電子申請までを一つの流れで進められます。
現在、給与計算と届出・提出を別々のツールで行っている場合、作業の流れは次のように変わります。
| ステップ | 別々のツールで行う場合の例 | KING OF TIMEで連携する場合 |
|---|---|---|
| 対象者の確認・集計 | 給与資料を集計し、確認結果を別の管理表へ転記する | 自動で抽出された対象者を確認するだけ |
| 届出の作成 | 集計した金額を届出様式へ転記する | 登録済みの情報からそのまま作成 |
| 提出 | 紙やe-Gov電子申請アプリなどで提出する | 「電子申請一覧」からそのまま申請 |
利用開始にあたっては、KING OF TIME 人事労務・KING OF TIME 給与の初期設定と、電子申請の利用開始設定を行います。年度の途中でKING OF TIME 給与へ乗り換える場合は、過去の給与データをインポートして、月額変更届の対象者確認に活用することができます。
ご注意
過去の給与データを取り込むだけでは、随時改定の判定に必要な情報がそろわない場合があります。インポート前に、KING OF TIME 人事労務の従業員情報[給与]タブへ、支給項目の金額を正しい適用日で登録してください。
インポート方法の詳細については、「過去の給与 / 賞与データのインポート方法」をご確認ください。
電子申請を始める前に確認すること
電子申請を行う管理者には、KING OF TIME 人事労務の「全ての管理権限」が必要です。
初めて電子申請を利用する場合は、e-Govへのログインに使用するアカウントと、利用方法に応じた電子証明書を準備し、KING OF TIME 人事労務で申請者情報の登録・e-Gov連携設定を行います。
詳細な準備と設定手順は、以下の関連コンテンツをご参照ください。
毎月の運用に組み込む
毎月の給与計算を確定したタイミングで、月額変更届を表示し対象者を確認する運用にしておくと、確認漏れを防ぎやすくなります。
対象者の自動抽出には、KING OF TIME 人事労務の登録内容と、確定した給与計算データが使用されます。昇給・降給や固定的賃金に関わる変更があった場合は、変更内容と適用日をKING OF TIME 人事労務に正しく登録しておきましょう。
「月額変更届を表示し対象者を確認する」「電子申請する」「改定後の標準報酬月額を登録する」までを毎月の業務に組み込むことが、継続して漏れなく運用するためのポイントです。
よくある質問
Q. 給与が下がった場合も、月額変更届の対象になりますか?
A. はい。降給によって固定的賃金が減少した場合も、随時改定の対象になります。ただし、基本給は下がったものの残業手当などが増え、3か月の平均では標準報酬月額が上がった場合のように、固定的賃金の動きと3か月平均の動きが逆になるケースは対象になりません。詳しい条件は、「月額変更届の表示 / 出力方法」をご確認ください。
Q. 月額変更届は、いつまでに提出すればよいですか?
A. 日本年金機構は提出時期を「速やかに」としており、算定基礎届のような提出期日は定められていません。変動月から3か月目の給与計算が確定したら、早めに対象者を確認し、提出しましょう。
Q. 改定後の標準報酬月額は、いつから適用されますか?
A. 変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4か月目から適用されます。たとえば、4月に支払われる給与に変動があった場合は、7月分から改定されます。
Q. 2等級以上の差がなければ、必ず対象外になりますか?
A. 原則は2等級以上の差が要件ですが、標準報酬月額の上限または下限にわたる等級変更の場合は、1等級差でも随時改定の対象になります。詳しくは日本年金機構「随時改定(月額変更届)」(外部サイト)をご確認ください。
Q. 添付書類は電子添付できますか?
A. 電子ファイル(jpgまたはPDF)の添付と、郵送する書類名の登録に対応しています。申請に必要なCSVは自動で添付されるため、別途用意する必要はありません。
Q. 健康保険組合にも電子申請できますか?
A. KING OF TIME 人事労務から健康保険組合への電子申請には対応していません。健康保険組合宛ての届出は、KING OF TIME 給与のCSV出力などを活用し、加入先の組合が指定する方法で提出してください。
Q. 申請すれば、改定後の標準報酬月額は従業員情報へ自動反映されますか?
A. 自動反映はされません。日本年金機構から返却された標準報酬改定通知書(公文書)を確認し、通知された標準報酬月額をKING OF TIME 人事労務へ手動で登録します。
Q. 年度の途中で他社の給与計算システムやExcelから乗り換えても、過去のデータを活かせますか?
A. はい。過去の給与データをインポートして、月額変更届の対象者確認に活用できます。随時改定の判定に使用する場合は、インポート前に、KING OF TIME 人事労務の従業員情報[給与]タブへ支給項目の金額を正しい適用日で登録する必要があります。
Q. 電子申請を利用していなくても、月額変更届の出力は使えますか?
A. はい。PDF・CSV出力をご利用いただけます。出力したデータを使用し、提出先の案内に従って手続きを進めてください。
ご注意:対応範囲について
対象者判定
次のケースは、本機能による判定に対応していません。該当する従業員がいる場合は、個別に手続きを判断してください。
- 年間報酬の平均による随時改定
- 休職手当が支給されている場合
- 産前産後休業終了時変更届・育児休業終了時変更届の対象者判定/除外判定
電子申請
KING OF TIME 人事労務から健康保険組合への電子申請には対応していません。健康保険組合宛ての届出は、KING OF TIME 給与のCSV出力などを活用し、加入先の組合が指定する方法で提出してください。
お役立ちコンテンツ
今回ご紹介した月額変更届の活用に役立つ情報をまとめました。操作の流れや設定方法など、詳細は関連コンテンツをご参照ください。
- 月額変更届の表示 / 出力方法
- 月額変更届のe-Gov電子申請の方法
- 過去の給与 / 賞与データのインポート方法
- e-Govアカウントと電子証明書の準備方法
- e-Gov電子申請の利用開始方法
- e-Gov電子申請の手順
- e-Gov電子申請を利用できる手続き一覧 / 申請の流れ
併せて、算定基礎届に関するコンテンツもご参照ください。